任意後見契約を利用するメリットは?
まず挙げられるのは、判断能力が低下したときに備えて準備をしておくことができることでしょう。
自分はいつまでも元気!判断能力が低下することなんて考えられない!と皆さん思っていらっしゃいます。もちろん、そうであることが望ましく、周りの人も皆そう願っています。ただ、何がきっかけで判断能力が低下するかは分かりませんので、これに備えておくことも必要ではないでしょうか。
いざ重要な財産の処分(不動産の売却、遺産分割協議等)を行おうとしたとき、判断能力が充分でないとされ、慌てて成年後見の申立てをすることになるということが実務上多く見られます。
成年後見の申立てを行う際には、既に本人の判断能力が低下していますので、本人の意思を尊重するように最大限配慮しながら後見事務を行いますが、もしかしたら選ばれた後見人、財産の管理方法、利用する介護施設等、本人の意思とは異なる選択になっているかもしれません。
そこで、任意後見契約をして、誰に後見をしてもらうのか、どのように財産管理を行い、どのような介護施設等を利用するための契約をするのかを予め打合せをしておくことで、判断能力の低下後も本人の意向に従った生活を過ごすことができるということが、最大のメリットだと思います。
また、任された側にとっても、銀行などで代理権を証明するよう求められたときに任意後見登記の証明書等で明らかにできますし、任意後見監督人の監督を受けながら事務を行いますので、後日、お金を使い込んだのではないかといった疑いをかけられる心配も少なくなります。